蒲田の飲み屋約1200軒を自ら歩いて数え、実際に飲んだり食べたりする様子をSNSやnoteなどで発信しつつ、蒲田に関する飲みイベントにも積極的に顔を出している『カマタノミ』のお2人。
今回は同じく蒲田で地域メディアを運営する『ぷらっとかまた』としても負けていられない!カマタノミの「蒲田で緑茶ハイ」さんと「蒲田で呑むゴリラ」さんに体当たりで取材してきました!彼らの熱量をビシビシと感じてください!
PROFILE
ープロフィール紹介ー
蒲田で緑茶ハイ(以下、緑茶ハイさん)
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仕事は不動産広告系、蒲田在住。これまで飲み屋街を中心に7ヵ所ほど暮らし、現在は蒲田に落ち着く。平日夜と土日に飲みに行き、平日昼間にサラリーマンとして働く以外はずっと蒲田にいる。蒲田の飲み屋さん約400軒訪問。
蒲田で呑むゴリラ(以下、ゴリラさん)
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仕事はIT企業の営業。これまでも営業畑。フルリモートで仕事をしていて、「今日飲みたい」と思い立ったときにそのまま蒲田に行ける距離に住んでいる。気が付くと麻雀のことばかり考えている。蒲田の飲み屋さん約200軒訪問。
聞き手:しらいし ゆみか(看護師兼ライター)
高校時代からの友達と、文化祭のような感覚でなにか面白いことを
今日はよろしくお願いします!さっそくみんなで乾杯~🍻
今でこそカマタノミとして一緒に活動しているお2人ですが、実は高校時代からの友達なんだそうですね。
そうです。高校1年生のときに同じクラスでした。
同じクラスで仲良くなって、その後も放課後は一緒に遊ぶ仲だったんですよ。6人いるメンバーのひとりでした。
当時は武蔵小金井駅の近くにイトーヨーカドーがあって、そこのフードコートでよく集まってなぁ…。
健全な高校生活ですね(笑)。それで大学や社会人になってからも関係は続いていたわけですか。お2人はビジネスコンクールに出ていたって話を聞きましたけど。
そうなんですよ。大学は別々だったんですけど、僕の大学では地域の観光協会と絡むコンクールがあって、そこで地域活性化をテーマにやっていましたね。だけど、当時は地域活性化に強く興味があったというよりは、参加していた英会話サークルがオールラウンドなサークルだったんで、もうちょっと学生時代になにかやりたいと思ったことのひとつにビジコンがありました。
僕は大学でマーケティングのゼミに入っていて、ゼミの活動の一環でビジネスコンクールに出ていましたね。元々は理系が好きで進学を考えていたんですけど、マーケティングの面白さを知って、勉強したくて経営学部に入ったんで。特に大学の2~4年の3年間はゼミに捧げた大学生活でした。そのなかで、半年に1回とか定期的に仲間内で会う関係でしたね。
なるほど。そこからぐっとお2人の関係が近くなって、カマタノミの活動につながるきっかけはどんなところだったんですか。
社会人2年目くらいの頃、なにか面白いことがやりたいと、散歩中にふと思ったんですよ。たとえば、いろんな人のおすすめを聞いてまとめたプラットフォームサイトを作るような、そういう活動をしたいと。
そのとき一番に頭に思い浮かんだのが緑茶ハイで。「面白いこと思いついたから一緒にやらん?」とLINEして、もうその日の夕方には池袋の居酒屋に集まって、自分の考えを話していましたね。
すごいスピード感(笑)。緑茶ハイさんが最初に頭に思い浮かんだのって、なぜだったんでしょうか。
正直深いことは考えていなくて、直感ですよね。面白がって聞いてくれるだろうなっていうのは絶対にあったんで。
当時から僕らは感性が合うだろうなとは思っていましたね。ふざけるときと真面目になにかやりたいときのバランス感覚が自分と近いかなと。基本的に僕らって、熱量を持ってなにかひとつのことをしたい、それに対してぐっと集中してやることが好きなんで。僕の感覚として、イメージは文化祭と打ち上げなんですよ。文化祭みたいなノリで楽しく頑張れることをやって、そのあと打ち上げでお互いにたたえ合いたい。
社会人になってから仲間内と飲んでいてもちろん楽しいんですけど、みんな仕事が違うし、仕事の大変さとか愚痴以外だとだんだん話せることが過去の思い出ばかりになっていって…。それが寂しいという気持ちもありました。同級生と現在進行形で新しいことを一緒にやれる、これが今すごく楽しいんです。
いいですね…こういう話を生で聞けて嬉しいです。
ただ、先ほどお2人が池袋で飲んだ話から、カマタノミの活動をはじめる2022年の8月までは数年経っていますよね。そのあたりってどんなことがあったんですか。
その日を境に頻繁に会うようになりました。彼から持ちかけられたおすすめをまとめるサイトの話もちょっとやってみて、でもうまく形にならないことがあって…。
たとえば、僕ら2人は飲みが好きなんで『サシ飲み』をテーマにしたお店を紹介しようとして、いろんな人におすすめを聞く総選挙みたいなことをしたこともありました。あれは今のカマタノミの居酒屋総選挙と同じスタイルですね。…だけど続かないんですよね、とにかく。
今のカマタノミの活動が1年半以上続いているのを知っていると、当時の”続かない”というのはあまり想像できないですね。
僕も彼も本業で働きながらなんで、仕事が忙しくなったり、プライベートでいろいろ左右されたり、波が合わなかったのかなって。当時は住んでいるところも離れていたんで。そういううまく形にできず、続かず…空中分解してしまうような時期がカマタノミをはじめる前にずっと続いていましたね。
これまでの活動とは違う、圧倒的に凌駕するだけの熱量の根源が蒲田にはある
活動が続かないところから、なにか仕事の環境が変わったとか、自分たちでなにかいろいろと改善してやっていったんでしょうか。
ひとつは物理的に会いやすくなったのは大きいと思います。僕は元々蒲田の近くに住んでいて、緑茶ハイも数年前に蒲田に住むようになって。仕事は特別落ち着いたわけでもなく、当時と忙しさはそんなに変わらないと思うんで。
僕は蒲田に住む前にいくつか住む場所を転々としていたんですけど、蒲田に来てまず波長が合うなと思ったんです。元々飲むのが好きだし、人と飲むのも好きで、蒲田で飲みに行くと感性がすごく合って、自分のなかですごくヒットしたんですよね。
それで、今度は蒲田の飲みだけにフォーカスした活動をしようと。だけど、これまで続いていない過去もあったんで、まずはTwitter(X)でアカウントを作って、それぞれ行った飲み屋を発信するところからはじめました。
やっぱり蒲田という街が、お2人にも大きく影響したと。
これまでは、ちょっとやってみて反応もあって面白い、だけど続かなかった。そこの熱量を一定に持ち続けることができなかったんですよね。
そこだよね、やっぱり。熱量がめちゃくちゃ大事。カマタノミもいろいろ活動していると、面倒だと感じることやしんどいと思う瞬間はあって、だけどそれを圧倒的に凌駕するだけの熱量、やりたい気持ちが強い。これが根本的に今までと違う。飲むのが好きだけど、やっぱり圧倒的に蒲田が好き。そうじゃないと続かないですよ。
その熱量って、たとえばどんなところから湧き上がってくるんでしょう。
カマタノミで活動するようになって、とにかくみなさんすごく優しいんですよ。Twitter(X)で「こういう美味しい飲み屋さんありませんか」と聞くと、蒲田のTwitter界隈の人がどんどん教えてくれる。それを聞いたからには僕らも行ってみたいと思うし、それが熱量やモチベーションに繋がっているんじゃないかと。
そうそう。それで教えてもらったお店で飲んで、感想を書いていくとまた反応があって、蒲田に対する愛着がどんどん強くなっていく。蒲田×飲みでいろんな企画ができないかなと考えて行動して、気付いたら今に繋がりますね。
ただ、僕らは「蒲田にこういういいお店があるからみんなに教えるよ」というスタンスではなくて、シンプルに「蒲田の飲みを楽しんでいる2人」というスタンスで発信し続けようとは、最初に活動をはじめたときから今でも一貫していますね。
そのお店に1回行ったからって、僕らのものになるわけじゃないですからね。そのお店には何十年と通う常連さんもいるし、仕事として飲み歩くプロの人もいる。僕らは蒲田の飲みが好きといっても、まだ1年半やそこらでちょっと詳しいだけなんで。
そこは自分たちの身の程をわきまえるというか、気を付けようと思っていますね。
蒲田の地図をもとに飲み屋さん約1200軒を歩いて数える
ちなみに、カマタノミの活動で私が一番驚いたのは、半年かけて蒲田の飲み屋さん約1200軒を歩いてすべて数えたことなんですけど。ちょっと常人の考えることじゃないなと(笑)。たしかゼンリンの地図をコピーして実際に歩いてまわったんですよね。
そうです。すべてのエリア合わせて12枚、印刷して情報を書き込みました。データはGoogleマイマップやスプレッドシートで管理して。
ゼンリンの地図はコンビニで1枚400円でプリントアウトできるので、歩いて調べていたときはまずセブンイレブンに集合するんですよ。
それで地図を印刷してから、そのエリアをまわる。仕事終わりに(笑)。
すべて数え終わった瞬間って、どんな感じだったんですか…
あのときの景色は今でも覚えているんですけど、蒲田駅の東口の夕焼けが綺麗で、飲み屋側からは音楽が流れていてね…。仕事終わりで毎回1時間ぐらいは歩いているんで、めちゃくちゃ疲れているわけですよ。だから達成感がすごかったと同時に、嘘だろ…って。正直、信じられないって感覚。
エモかったよね。あ~終わった…と2人でなった後に、じゃあ飲みに行こうかって。東口の飲み屋が多いところに戻ってきたときに「あ、この通り数え終わってねぇわ」となって、また数えに行くっていう(笑)。たしかに終わった感じがしなかったな、「あの道数えたよね?」って何度も思った。
最後に終わったときだけじゃなくて、毎回エリアを決めて夜集まるんですよ。数え終わった後には毎回小さな打ち上げがあって、それがとにかく楽しいんです、僕らは。
だって高校生や大学生のときの同級生と、今になってこうしてお互いに「よくやったな」と称えられることってないじゃないですか。それを歩きながら考えるわけですよ、あとでここのお店で打ち上げしようかって。それがすげえ楽しい。
そうそう、数えたエリアのお店にその後飲みに行くのがルールだったんで。
いくつもの打ち上げがあってこそ、この軒数歩いて数えるのも達成できたわけですね!
お互いの感性やリスペクト、蒲田という街のポテンシャルがあってこそ
これまでの話を聞いていて、ちょっと意外だなと思ったのは、ゴリラさんは理論派・堅実派っぽい印象だったんですが、わりと直感的なところもありますよね。
そうですね。僕は考え方というか達成するための積み上げは理論的なところはあるかもしれないですけど、方向性を決めるときは全部直感です。そもそも大学に入る前までは理系の勉強を進めてきたのに、マーケティングで経営学部に入るときは、理屈とかじゃなく単純に面白そうだからやるという選択をして。ゼミとか今までの会社もそう、全部面白そうだから。
そこはまじで大事だと思っていて。これで彼が理論派・堅実派だったらたぶん一緒にやれていないと思うんです。僕が楽しそう、面白そうって言語化できないところも汲み取って一緒になって楽しんでやってくれる。これが合理的なタイプだったら一緒にやっていないですね。ある意味、奇跡ですよ。
そうだよね。本当に合理主義者だったら、たぶんカマタノミはもっとビジネスとしてやっていると思う。やりたいことを合理的に考えたらつまらないじゃんって僕は思うんですよ。
なるほどねぇ!お2人って今では週2~3回とか会う仲で、これだけ一緒にいてケンカとかしないんですか。
大前提としてリスペクトがあるんですよね。僕はけっこう感覚的に思いつきでバンバン言って動くタイプですけど、同じ感覚で共感してくれつつ、客観的な視点もあって「ここはいいと思うけど、ここはこういう理由で受け入れられないかもしれない」とか否定しないでちゃんと精査してくれる。
たしかに、緑茶ハイの面白いことを考える発想力や企画力みたいなところは、ものすごくリスペクトしていて。これはたぶん一生かかっても自分にはできないというか…。
まぁ、ぶっちゃけ緑茶ハイは昔からモテるんですよ、モテるために生きている(笑)。男女関係なくいろんな人に好かれる、興味を持ってもらえるタイプで、人を惹きつける力というか、これは天性のものがあると思っていますよ。
え、でも嬉しい。美味しいなお酒が(笑)。
まさかのモテ(笑)!でも2人の感性とリスペクトと、蒲田という街のポテンシャルと…いろんなものがピタッとハマった感じですよね!
いや~楽しいお話をたくさん聞けたところで最後にはなりますが、ぷらかまのこの記事を読んでくれる人にメッセージいただきたいです。
今年は蒲田で飲む魅力をもっと解像度を高く、伝えていきたいと思っています。今日もインタビュー中に、ふらっと隣の人に話しかけられたりして、人の近さが蒲田の魅力のひとつでもあって。
だけど、これって簡単に作り上げられる空気感じゃないと思うんです。ずっと蒲田で培われてきた貴重なものだし、それを絶やしちゃいけないと思いながら、僕らは発信していて。この街の空気感を守りつつ活性化もできるように。この街の、今この瞬間の魅力もきっとあると思うので、それをぜひ見に来てほしいですね。
蒲田のように、気を張らなくていい場所ってなかなかないと思うんですよ。蒲田はそのなかでもお店の数もたくさんあるし、都市部としての機能と田舎のような下町の良さと、絶妙なバランスを保っていて。全国的にみても貴重なんじゃないかなと。それが最大の魅力。ぷらっと構えなくても飲みに行けるんで…
ぷらっと…?
ぷらっとかまた…(笑)?
まさしく、カマタノミさんの今年の活動のひとつに「より蒲田の飲みを深く知る」ということもあり、今後の活動も応援しています。そして、ぷらかまともなにか一緒に面白いことができたらと思います。ありがとうございました!
今回のインタビューは蒲田のランドマーク『 鳥万 本店』さんで行いました!ありがとうございました!
撮影:まつなが、八雲