京急蒲田駅近くに店舗を構え、街のあらゆるところで飲み(?)営業する不動産屋ミレイホームさん。物件紹介だけでなく、地域コミュニティやイベントにも積極的に参加する彼らの姿勢から、蒲田の魅力や不動産事情が見えてきます。
今回は大手不動産会社での長年の経験を活かし、蒲田を含む大田区で不動産サービスを提供する代表取締役の松本さんと、取締役の立石さんにお話を伺いました。仕事が一段落したら街に繰り出して飲み歩く、ミレイホームさんのユニークなお仕事スタイルをお届けします!
PROFILE
ープロフィール紹介ー
松本真博さん
株式会社ミレイホーム 代表取締役
港区・品川区・大田区で不動産キャリア18年。趣味は野球観戦(千葉ロッテファン)・お酒・ラーメン(二郎から家系まで)の食べ歩き・甥っ子と遊ぶこと。
立石みどりさん
品川区・大田区で不動産キャリア7年。趣味は映画鑑賞・散歩・読書など、多趣味です。
聞き手:しらいしゆみか
大手不動産からの独立、お客様と向き合う時間を大切に
今日はよろしくお願いします。取材先でお茶やコーヒーではなく、ビールやお酒が出てくるのはじめてです(笑)。
そうでしょう(笑)。今日はもう仕事が一段落したんでね、これがうちのスタイルです。では、まずは乾杯!
お疲れ様でした~乾杯!
乾杯!
さっそくではありますが、ミレイホームさんにいろいろお聞きしたいと思います。まずは会社を立ち上げた経緯を教えてください。
元々私たちは大手不動産会社で一緒に働いていたメンバーです。当時は1日の半分以上が会議で、売上重視になっていて。どんどん現場から離れていくのが嫌だったんです。お客さまと接しながら一緒に物件探しをするのが好きだったので、自分たちで会社を始めました。
前職の頃から、週7日で飲み歩くスタイルだったので、街やお客さまとの関わりを大切にしていました。ただ、グループ統合などで自分たちのやり方が難しくなりそうだと感じて、独立を決意したんです。
みなさん元々同じ職場だったんですね。ミレイホームさんの特徴や強みはなんでしょうか。
うちのモットーは、地元密着で、地元で稼いだら地元にお金を落としたいということです。そして、ノルマがないんです。大きく儲けようとか会社を大きくしようとはあまり考えていなくて、「ちょっと楽しく飲めたらそれでいい」というスタンスを大切にしています。
大手のように自社物件を持っていない仲介業なので、お客さまにとって最適な物件を紹介できます。テナントコストを抑えたり、安くてしっかりしたものを提案したりと、柔軟に対応できるのが強みですね。
人と人のつながりを大事にしていますよね。ときには、引っ越しで関わった方から「おじいさんの訪問介護をお願いしたいけど、誰に相談したらいいか」と相談されることもあります。
大手企業のように異動もないし、自分たちは逃げも隠れもしない(笑)。だからこそしっかりやるんです。物件紹介をするだけでなく、たまにはお客さまの引っ越しを手伝ったり、高齢の方が困っていたら電球交換をしたりと、気付いたらそこまでやっちゃうんです。
蒲田の魅力、住みやすさと人情味あふれる街
街のことで詳しいのはやっぱり不動産屋さんだと思うんですけど、ミレイホームさんから見た蒲田の魅力を教えてください。
何でもありますよね。物価も安いです。街もまあまあ綺麗だし、人は温かい。
そうですね。蒲田ってちょうどいいんですよ。飲みに行こうと歩いていると「一杯飲んでいきなよ」って気さくに声をかけてくれて人が温かいんです。お店の人との距離も近いし、お客さん同士でも声をかけ合ったりしています。
よく「蒲田や川崎は治安が悪い」って言われていますが、それは酔っぱらいすぎて寝ちゃっている人たちが多いだけです(笑)。警察官も多いので、逆に治安は良いのではと思いますよね。
たとえば、蒲田周辺で住むところを探す際のポイントってありますか。
女性の一人暮らしなら、入居審査をしっかりしてくれる物件がおすすめです。管理の行き届いた物件を選ぶことで、トラブルを避けられます。京急の空港線沿線(京急蒲田駅~羽田空港第3ターミナル駅 )は空港関係の方が多く住んでいて、女性向けの物件も多いです。
ただし、決断は早めにする必要がありますね。蒲田を含む大田区は物件の回転が速いので。ネットに載っている物件は余り物になっていることもあります。
空き予定の段階で申し込みを入れて、物件を見ないで契約するか、最終確認程度ですぐ契約という探し方がこのエリアの主流です。ネットで検索するだけでなく、実際に電話をかけたり、店舗に足を運んだりしたほうがいいですね。
そうした探し方のコツがあるんですね。ちなみにミレイホームさんのなかで繁忙期、または穴場の時期ってありますか。
一番忙しいのは12~3月です。それ以外も忙しいですね。物件が安いのは7~8月、高いのは3~4月で家賃相場も5,000~10,000円ほど変わります。狙い目は7~8月、11~12月頃。もしくは目当ての物件を決めておいて空くのを待つのがいいかもしれません。
不動産業界の裏側、お客さまを守るためのプロの視点
不動産屋ってちょっと怖いイメージがあるかもしれませんよね。だまされるんじゃないかって。
あぁ、たしかにそうかもしれませんね。
正直、業界全体的に15年くらい前までは、グレーなやり方が横行していた時代もありました。今でもその頃のやり方を続けている会社もありますから。契約直前でお金がかかったり、見積もり以上の金額を請求されたりすることがあるかもしれません。私たちは、そういった悪い慣習を知っているからこそ、お客さまを守ることができると思っています。
ボッタクリ業者は契約の段階で避けるようアドバイスします。それでも住みたいというなら、リスクを説明した上で契約します。大手企業がダメというわけではありませんが、どの会社かということよりも、目の前の担当が誰か、どんな人かが重要だと思いますね。
松本さんは経験が豊富なので、ある程度先読みができるんです。お客さまが困ったときもいつも適切なアドバイスをしてくれています。
不動産屋にとって物件を探す側も、貸す側も、管理会社もすべてお客さまです。どちらか一方の希望や意見に偏らないよう、プロとして気を付けています。貸主さんと管理会社さんとの日頃のコミュニケーションが大切で、そこがうちの強みでもあります。
通常、不動産業はクレームが多い商売ですが、うちは直近1年間のクレームゼロです。営業と事務を分けて、得意な人が得意なことをやるので、連絡の遅延などのトラブルが少なくなるようにしているんです。
地域に根差した不動産屋、お酒を交わしながら築く信頼関係
ミレイホームさんは仕事が一段落したら飲みに歩くというスタイルですが、実際街に出てどんなことをしているんですか。
本当にそこらへんで、ふらっとお店に入って飲んでいるだけです(笑)。蒲田の飲食店の人たちはみんな仲がいいので、「あそこのお店、テナント探していたよ」とか「今度引っ越そうと思っていて」と声をかけてもらうこともあります。
昔から営業しているお店では、蒲田の街の移り変わりもいろいろと知っている人も多いですからね。『晩杯屋』の店長さんとかは以前の会社のときからお世話になっています。
あとは社交辞令で言ったことを本気でやっちゃうんです。「飲みに行きましょう」って言われたら本当に行くし、なにか困っていると言われたら手伝ったり、その道の詳しい人を紹介したりするように頑張ります。
この間なんか、ヤクルトレディーさんから街の情報や物件を探している人を相談されましたからね(笑)。
ええ、ヤクルトレディーさんから!すごい!
ただ、「なんでもできます!」と大風呂敷を広げすぎないことも気を付けています。お客さまとの相性が合わないと判断した場合は、「すみません、ちょっとうちでは○○の物件は厳しいので他の不動産屋さんに行ってください」とはっきり言います。
たとえば、川崎の物件を探したいという場合には、うちはそこまで得意ではないので川崎の不動産屋を紹介します。
そうしたことも、正直にお話しされるんですね。
焦って決めるのはよくありませんからね。物件がすぐに埋まってしまう可能性もありますが、理由をちゃんと説明した上で、よく考えて決めてもらいます。ネットで探すのもいいですが、管理の悪い会社の物件に当たることもあります。それは経験のあるスタッフでないとわかりません。ですので、一度不動産屋に相談してみるのがおすすめです。
本当に松本さんは優しいんですよ。よく酔っぱらって外で寝ている人を助けたりもするんですよね。
まあ、自分もいつそうなるかわからないですからね(笑)。蒲田って、そういう人情味のある街なんです。
ミレイホームの松本さんと立石さんの話からは、単なる不動産仲介業にとどまらない、地域に根差した事業の姿が見えてきました。お客さまとの距離感を大切にし、時には厳しいアドバイスも辞さない姿勢は、長年の経験と地域への愛着があってこそ…!
蒲田という街の魅力と合わせて、不動産選びの新しい視点を教えてくれる、心強いパートナーだと感じました。物件探しに悩んだら、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか!
ミレイホームさんのX(Twitter)も要チェック!
撮影:アチ