「食は楽しく」「健康とは継続なり」そう語るのは、蒲田にある『健康レストランかろり500』の店長・原山和義さん。お店では『体に良いのにとっても美味しい』をコンセプトに、低糖質にこだわったお料理を提供されていいます。そんな原山さん、実は「健康ってなんだろう?」という状態からお店をスタートしたとのこと。その状態から低糖質にこだわるにいたった経緯や現在のお店の活動についてお話を伺いました。
PROFILE
ープロフィール紹介ー
原山和義
健康レストランかろり500 店長
もっと詳しく
高校中退後、フォークリフトのドライバーとして働き始め、18歳で地元先輩に紹介された飲食店でアルバイトを掛け持ちし、厨房に入ったことをきっかけに飲食業界で働くことに決めた。以前は同じく蒲田で運営する姉妹店『蓮』で勤務しており、現在は『健康レストランかろり500』の店長を勤めている。日高屋で5人前の定食を食べてしまうくらい、食べることが大好き。
聞き手:みゆこん
スタートはカロリー制限の料理。でもなにかが違うと気づいた
実は取材前に、健康レストランかろり500(以下:かろり500)さんの美味しいお料理をいただきました。低糖質なのに味もボリュームも大満足でとても感動しました…!
早速ですが、かろり500を始めた理由を教えてください。
元々は健康レストランのお店を作ろうという会社のオーナーから話があり、店長として任されることになりました。だけど、正直なところ、当時の私は“健康”というワードにピンと来ていなくて…。食は身近なものなのに、人によって意識に差があるんですよね。私の場合はとにかく食べることが大好きなのですが、当時はなにを食べたらどうなるかもわからなかったんです。昔からかなり大食いで、日高屋では定食5人前を平気で食べていました(笑)。若かったこともありますが、こんな状態を続けてきても太らなかったし、幸いにも病気もしてこなかったんです。
そこでまずは「健康ってなんだろう?」というところから考え、現代の日本の現状を調べていくと、いろんなことがわかりました。たとえば、糖尿病は3人に1人が罹っている状況で、その原因を調べていくと食事などの生活習慣にいきつきました。特に東京はあらゆるところに飲食店が立ち並んでいるので食べることには困らないけど、どんなものをチョイスして食べたらいいかを知っておいた方がいいなと、気づかされたんです。それから、食に関する情報発信や意識改革をしていきたいなと今では思っています。
たしかに「なにを食べるか」をチョイスするのは個人の健康意識によりますよね。かろり500さんでは低糖質に特化しているとのことですが、その理由はなんだったのでしょうか。
実は、開店当初は低カロリーの料理をメインにしていました。当時は「タニタ食堂」が有名になった時期で、医療現場でも糖尿病患者さんにはカロリー制限食を指導するのが主流だったので、料理のカロリーに着目していました。店名も「かろり500」と親しみやすさを込めてつけたんです。だけど、カロリーって油1gだけで大きな差になってしまうんですよね。一時期、霧吹きで油の量を調整していたこともありました(笑)。
それから私が勉強していくうちに、糖尿病患者さんにはアメリカの糖尿病学会でカロリー制限ではなく糖質制限が有効だと認められたことがわかったんです。また、実際に健康を謳っているレストランに足を運ぶなかで考えたのは、低糖質の料理の方がしっかり量も食べられて美味しくて、この条件がそろっていれば我慢せずに続けやすい。お店が理想としていた料理に近づいてきました。
また、「ダイエット=健康」ではないなと思ったんです。日本ではカロリー制限をしたダイエットが主流だと思いますが、個人の生活スタイルも食生活もポテンシャルも違うのに、我慢したダイエットが健康だと考えるのは無理があるなと感じました。こういった理由で、低糖質に特化したレストランにコンセプトを変更しました。
管理栄養士と二人三脚で試行錯誤した低糖質と満足感のバランス
低糖質でボリュームと美味しさを実現させるのは難しいのでは、と思ってしまいますが、こだわっていることを教えてください。
まず、自家製調味料を使うようにしています。というのも、糖質が多く含まれている調味料も多く、最初にぶつかった壁だったんです。健康的な食事というと、野菜を食べるイメージがありますが、ドレッシングに糖質が多く含まれていたら意味がなくなってしまいますよね。どうしたらお店で調味料を使えるか考えた結果、自分で作ることにしました。自家製調味料だと低糖質なだけでなくて添加物も少なめなので、安心してお召し上がりいただけます。
さらに糖は種類によって身体のなかで分解のされ方や吸収のされ方に差があるため、わかりやすく言えば白い食品を使わなくなりました。低GI食品ともいわれていますが、白い糖よりてんさい糖、白米より玄米、といったように食材にもこだわっています。
先ほど自家製調味料を店内でお見かけしました!また、料理は管理栄養士監修とのことですが、どのような相談をされるのでしょうか。
当初は成分表記されている項目が少なくて自分では糖質計算が難しかったので、私が作ったレシピをグループ会社でエステサロンに勤務されている管理栄養士さんに渡して、糖質計算してもらっていました。低糖質と味のバランスを保てるように、健康や美容に関する情報をもらいながら試行錯誤していましたね。
最近では成分表記が義務付けられ、糖質計算がしやすくなってきたので計算自体は自分で行っていますが、なにか困ったときに相談させてもらっています。
“低糖質”はなにかのきっかけで意識するようになる
実際にお店にはどんなお客様が多くいらっしゃいますか。
最初は自分自身の健康になにかしらの影響があった方が1番多かったですね。食生活を改善しないといけないけど、当時は低糖質のお店が限定的だったこともあり、そのようなお客様がいらっしゃっていました。
最近は予防的な観点でいらっしゃる方も増えています。たとえば、前日に食べすぎたから調整のために来たというお客様や、お子さんに良いものや低糖質の食事を食べさせたいから来たというお客様ですね。コロナ禍を経て、みなさんの健康意識が少し変わってきたと実感しています。
常連さんもいますが、なかには「健康レストランってどんなもの?」と半信半疑のようなお気持ちで来店されるケースもあります。たしかに健康的な食事というと、精進料理のような味が薄くて質素な食事や野菜が多くて、物足りないイメージが圧倒的に多いと思います。私も同じイメージを持っていましたが、健康的な食事のネガティブなイメージを崩したかったんです。実際にそのようなお客様も一度うちで食べていただくと、大きくイメージが変わったそうです。
徐々に客層も変化しているんですね。
そうですね。やはり健康意識って普段の生活で突然芽生えるものではないと思っています。朝起きていきなり「糖質のことを勉強しなきゃ!」みたいな風にはなりませんよね(笑)。だけど、なにかきっかけがあれば少し意識が芽生えるんじゃないかなと、レストランで料理を提供することが健康の啓蒙活動の一環になったらいいなと思っています。
医療従事者にすぐ聞ける。病院ではなくて日常生活で不安を払拭してもらいたい
啓蒙活動というと、かろり500さんではレストランの営業だけでなく、理学療法士や脳神経外科医など、医療従事者を招いて講演会も催されていると思います。どのような経緯で始まったのでしょうか。
理学療法士の講師とは私が居酒家『蓮』という姉妹店で働いていたときにお店の常連さんとして出会い、脳神経外科医の講師とは医療関係の仕事をしている仲間から紹介してもらいました。お2人ともそれぞれの専門学問を多くの方に伝えたいという思いが強く、一緒に講演会をしていけたら面白いんじゃないかと思い、スタートしました。
原山さんから理学療法士や脳神経外科医の講師にお願いしたのでしょうか。
たまたま理学療法士同士の勉強会を開く場所を探しているタイミングで、お店のスペースを貸すご縁がありまして。理学療法士の講師から、病院で患者さんと関わるほど、病院に来る前になんとかできないのかと感じていて、日頃からみんなが健康を意識して取り組めるような活動をしていきたいという思いを聞いていました。かろり500としても健康に関する情報発信を考えていたところで、講師との思いが重なったのだと思っています。
最初は会社の社員に向けて足をテーマにした講演会を開いてもらったんです。特に従業員は立ち仕事が多いので、足のサイズをちゃんと測ること、歩行で気を付けることなどを教わりました。それが面白くて、今度は食べに来てくれた方に向けてなにかできないかなと一緒に考えていって今に至ります。
講演会を開催してどのような影響や参加者の変化があったのでしょうか。
参加して、実際に改善されたという方もいます。そのなかで講演会は、すぐ質問できる距離に医療従事者がいて、専門家の話をしっかり聞けるという不安を減らす役割を果たしていると感じました。日常生活では自分の身体になにか不調があって病院に行ったときしか医者や理学療法士とは話ができないですよね。でも、お店で貸し切って開催している講演会で、すぐ聞ける距離に医療従事者がいると「聞けてよかった」と安心して帰ってくれるんですよ。それが一番嬉しい反響かもしれません。
『健康とは継続なり』楽しく食べることがなにより大事
病院ではなく日常生活で医療従事者に聞けるというのは、とても安心ですよね。
そうですね。ただ講師とも話しているのですが、講演会のいい反響や変化がある一方、講演会で得た知識をお客様にどう継続してもらうかが課題だと思っています。講演会に参加してもらうと、なにか響くものってあると思うんですが、日数が経過すると薄れていってしまうんです。一時的に意識が高まるだけでは、あまり意味がないと思っているので、今後はいかに身についた知識を続けやすくするかを提案していきたいですね。
きっかけづくりから継続の仕組みづくりが今後の課題というところでしょうか。それでは最後に読者へ伝えたいメッセージを教えてください。
『健康とは継続なり』ですね。開店当初は「健康ってなに?」という状態から始まった私が偉そうに言えることではありませんが、まず健康は意識することから始まると思います。
ですが、健康のためにあれこれしなきゃいけないというプレッシャーや我慢ばかりになってしまうと、なかなか継続するのが難しくなくなってしまいますよね。そうではなく、自分のペースでいいから楽しく続けられるように、我々が一緒にそのハードルを下げられたらいいなと思っています。
お店では毎月旬の食材や健康効果をテーマにおすすめのメニューを出しているので、気軽に足を運んでもらえたら嬉しいです。継続するには、なにより「楽しく食べる」が1番だと伝えたいですね。
楽しく食べたい、健康維持や継続で困ったらぜひかろり500に来てください!
また、仕事だから料理をするという気持ちではなく、料理を楽しみたい、食事で健康を支えたいという方がいたら、ぜひ一緒に働きましょう!
一緒に働きたい方も募集中です!
かろり500さんは困ったときの救世主ですね。本日はありがとうございました!
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撮影・編集:しらいしゆみか