【インタビュー】痛みを取り、笑顔を届ける。蒲田のむすびが紡ぐ、地域の温かいつながり

人々の心と体に寄り添う治療院「蒲田のむすび」。今回は、院長であり鍼灸マッサージ師の土屋 英俊さんと、代表の野村 幸太郎さんにお話を伺いました。「周りの人に笑顔になってほしい」という純粋な想いを原点に、「ルート治療」で多くの患者と向き合う土屋さん。そして、元工場経営者という異色の経歴を持ち、地域貢献に情熱を燃やす野村さん。鍼灸マッサージ師としての関わりから、地域イベントへの積極的な参加まで、その活動は多岐にわたります。治療院の枠を超え、人と人、そして地域との結びつきを育むお二人。その温かな想いの源を探るインタビューです!

PROFILE
ープロフィール紹介ー

土屋 英俊(つちや ひでとし)さん
蒲田のむすび 院長 / 鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師

神奈川県座間市出身。東洋鍼灸専門学校を卒業後、川崎中央はりきゅう院に就職。地域連携室室長を務めた。2019年より蒲田のむすび院長に就任。

野村 幸太郎(のむら こうたろう)さん
株式会社しきあ 蒲田のむすび 代表

聞き手:まつなが・ぽりまー

土屋さん

院長の土屋と申します。よろしくお願いいたします!

この記事の注目ポイント!!

7年間の留学経験から鍼灸マッサージ師の道へ

まつなが

蒲田で地域に根差した活動をされている「蒲田のむすび」のお二人に、その想いや取り組みについてお聞きできればと思います!さっそくですが、鍼灸マッサージ師とは具体的にはどのような資格なのでしょうか?

土屋さん

正確には、国家資格である「はり師」「きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」という3つの資格を持っています。これらはすべて別々の資格なんですよ。学校によっては鍼灸とマッサージで分かれているのですが、私の通った学校では、これらを一度に学べるコースがありました。

まつなが

なるほど、専門的な知識と技術を幅広くお持ちなのですね!ちなみに、この職業を選ばれたきっかけは何だったんですか?

土屋さん

もともと私の原点にあるのは、「周りの人に笑顔になってほしい」という思いなんです。痛みやつらさを抱えていると、心から笑うことは難しいですよね。ならば、その痛みを取り除くお手伝いができれば、と考えたのが始まりです。
実は、この道に進む前は中国に7年ほど住んでいまして、東洋医学が身近な存在だったことから、鍼灸マッサージ師の学校に通うことを決めました。

まつなが

7年間も中国に!? どのような経緯で行かれたのですか?

土屋さん

話すと長くなるのですが……。高校卒業後、大学受験に失敗しまして。私はクリスチャンなので、所属している教会で聖書の勉強を3年間していました。その後の進路に悩んでいた時、本当に偶然、「中国で勉強しませんか?」というダイレクトメールが届いたんです。

親戚からは「詐欺じゃないか」とすごく心配されましたが、「えいや!」と乗っかってしまいました(笑)。トータルの滞在は7年間ですが、間に感染症の流行で一時帰国したり、盲腸をこじらせて日本で手術をしたりと色々あり、ずっと中国にいたわけではありません。ただ、その時の経験が、今の仕事につながっていると感じています。

工場跡地から地域貢献の拠点へ – 「蒲田のむすび」誕生秘話

まつなが

帰国後、どのようにして「蒲田のむすび」の立ち上げに関わることになったのでしょうか?

土屋さん

鍼灸の学校を卒業して、一度川崎の治療院に勤めていました。そこを退職するタイミングで、代表の野村から「一緒に地域の人のために頑張らないか」と声をかけてもらったのがきっかけです。本当に良いタイミングでした。

まつなが

野村さんは、どのような想いでこの治療院を始められたのですか?

野村さん

もともとこの場所は、私が経営していた工場だったんですが、時代の流れで取引先が海外や地方へ移転し、続けるのが難しくなりました。ただ、場所はあったので、以前から行っていた地域活動の経験を活かして、地元で何かできないかと模索していました。その中で訪問マッサージという仕事を知り、周りに声をかけてスタートしたという経緯です。

まつなが

地域活動は以前からされていたんですか?

野村さん

はい。生まれが大田区・蒲田ということもあり、昔からお世話になっている地元町会の役員をはじめ、区民活動コーディネーター、地域の民生委員として活動しております。

治療の二本柱 – 「訪問マッサージ」と「来院治療」

まつなが

現在の「蒲田のむすび」のお仕事内容について教えてください。

土屋さん

私たちの仕事は、大きく分けて「訪問」と「来院」の二本柱で成り立っています。訪問では、ご高齢であったり、お体が不自由で治療院まで来ることが難しい方のご自宅や施設へ私たちが伺い、マッサージを中心とした施術を行います。

まつなが

訪問マッサージは医療保険が適用されると聞きますが、どのような制度なのでしょうか?

土屋さん

適用には、かかりつけのお医者さんから「マッサージを行うことへの同意書」を発行してもらう必要があります。9割以上の利用者さんが医療保険を使われていますよ。

まつなが

多くの訪問サービスが介護保険で動く中で、地域のケアマネジャーなどとの連携はどのようにされているのですか?

土屋さん

制度上は単独でも動けるのですが、私たちは患者さんの利益を第一に考えているので、たとえ介護保険を使わなくても、ケアマネジャーとの連携は大事にしています。患者さん一人の状態を多角的に把握し、チームで支えていくために、ケアプランに記載があるかないかに関わらず、お互いの情報共有が不可欠です。実際、私たちへの依頼のきっかけとして最も多いのが、ケアマネジャーさんからのご紹介なので、これからもその関係性を大切にしていきたいですね。

見るからに痛そうな「ルート治療」、その効果は?

まつなが

もう一つの柱である「来院治療」は、どのように行っているのですか?

土屋さん

来院は自費診療になるので、ご自身で通える20~60代の方が中心ですね。ご相談内容で最も多いのは腰痛や肩こりですが、うつ病やパニック障害といった精神的な不調で来られる方もいらっしゃいます。自費診療だからこそ、保険の枠に縛られず、あらゆる症状に対応できるのが強みです。

まつなが

土屋さんは「ルート治療」という鍼治療をされるそうですが、どのような治療法なのでしょうか?

土屋さん

ルート治療の根底にあるのは、「体の不調の原因は、すべて“コリ”にある」という考え方です。腰痛も、頭痛も、精神的な不調でさえも、長年蓄積されたコリ(=滞った血流)が原因だと捉えます。コリは「点」ではなく「塊」なので、あえて太い鍼をたくさん、時には400~500本打って治療します。自己修復のために血流が促進されて、コリが解消されていく、という非常に物理的なアプローチです。

まつなが

400本って、想像がつきません…!やはり、痛いのでしょうか?

土屋さん

もちろん、めちゃくちゃ痛いです! 出血や内出血を伴うこともあります。ですので、施術前には必ずその点をご説明し、同意を得てから行います。お灸と組み合わせることで改善する例もありますが、こちらも熱いですよ!ただ、不思議なことに悪いところは熱さを感じないので、「熱い!」と感じるまでお灸を追加する形でやっています。

ぽりまー

利用者さんは、最後の頼みの綱というような感じで来られるんですか?

土屋さん

そうですね、整形外科や整体など、色々試したけれど改善しなかった、という方が多くいらっしゃいます。そういう方のコリは年季が入ってるので、何回か通ってもらう中でコリを削っていきますが、心の中では「もう少し早く来てくれれば…!」と思っています(笑)。

施術中に患者さんから学ぶ人生の深さ

ぽりまー

実際の患者さんとの関わりで、どんなことが印象に残っていますか?

土屋さん

私たちは患者さんに施術を提供する立場ですが、実際には患者さんから多くのものをいただいていると感じます。特に定期的に通う訪問マッサージでは、本当にいろいろなお話をお聞きしています。もう少なくなりましたが、例えば戦争を実体験された方から、1対1でその頃のリアルなお話を聞かせていただいたのは本当に貴重な経験でした。

まつなが

会話が施術中のコミュニケーションなんですね。

土屋さん

はい。患者さんによってはこの先何年というお付き合いになりますからね。元社長さんや、元お医者さんの方など、様々な人生を歩んでこられた方々からお話を聞くことは、私にとっての財産のようなものです。

まつなが

体のケアだけでなく、心にも寄り添える支援は本当に素敵だと思います。

土屋さん

ありがとうございます。ただ、逆に大変だと感じるのは、やはり患者さんの痛みが取りきれない時ですね。そういう時は自分の勉強不足を痛感しますし、もっと腕を磨いて真摯に向き合わなければと、気持ちを新たにしています。

まつなが

高齢の方の痛みは原因が一つではなく、複雑な場合も多いですよね。

土屋さん

はい。中にはALS(筋萎縮性側索硬化症)やギラン・バレー症候群の後遺症など、現代医学では完治が難しい病気と闘っておられる方もいらっしゃいます。治せないというジレンマは常にありますが、それでもマッサージを通して少しでも体が楽になったり、前向きな気持ちになってもらえるよう、その時の私が持てる最高の施術を提供することを心がけています。

まつなが

病気そのものを治すことは難しくても、その方が抱える「困りごと」を和らげ、少しでも良い時間を過ごしてもらうお手伝いができるのは、このお仕事の大きな価値ですね!

地域に根差し、人とつながる治療院として

まつなが

今後の「蒲田のむすび」の展望について、何か考えていますか?

土屋さん

個人的には、自分自身の技術をさらに磨き続けることが第一です。その上で、地域への貢献活動をより広げていきたいですね。例えば、所属している鍼灸マッサージ師会と連携し、災害時に備えて各治療院に物資を備蓄するような仕組みを作れないかと考えています。また、大田区や川崎市で開催される福祉系のイベントで無料マッサージブースを出すなど、鍼灸マッサージの啓蒙活動も積極的に続けていきたいです。

野村さん

私は、会社の規模を闇雲に大きくするよりも、今いるスタッフが長く安心して働き続けられる環境を作ること、そして後進を育てていくことを何より大切にしたいと考えています。そのためには、院内だけでなく、外部の勉強会や地域活動へ積極的に参加することを奨励しています。

外の世界に出て様々な経験をすることで、人としても施術家としても視野が広がり、成長できるからです。スタッフ同士、お互いに技術をチェックし合う機会も設けて、常に高め合える環境でありたいですね。

まつなが

最後に、お仕事をする上で最も大切にされている考えについて教えていただけますか?

土屋さん

私が大切にしているのは、「信じること、希望を持つこと、愛すること」です。これはクリスチャンとしての教えが基になっています。私は、患者さんが必ず良くなると「信じ」、良くなった未来への「希望」を持って施術に臨みます。そして、患者さんにもそうあってほしいと願っています。

まつなが

心に響くお言葉ですね…!

土屋さん

聖書には「自分を愛するようにあなたの隣人を愛しなさい」という言葉があります。まず自分自身の心と体を大切にし、万全の状態で患者さんと向き合うこと。その上で、自分の体を大切にするのと同じように、心から患者さんを「愛し」、少しでも楽に、笑顔になっていただけるように努めること。

毎日は難しいですが、できる限り夜9時には寝るようにして、まず自分自身の心と体を整えることを徹底しています。そして、自分を大切にするのと同じ思いを持って、患者さんに接しています。私自身も、ぎっくり腰や、手遅れになった盲腸で腹膜炎を起こして1ヶ月入院し、その間に腸閉塞で再手術をしたりと、大変な経験をしてきたからこそ、患者さんに対して心からの共感が生まれます。

ぽりまー

ずっと学んできたことが、自分の中の軸となっているのですね。

土屋さん

はい。『自分を愛するように患者さんも愛し、少しでも楽に、少しでも笑顔になって帰っていただく』。これを一番大切にしており、今後もこの気持ちで一人ひとりの患者さんと向き合っていきたいと思っています。

まつなが

技術だけでなく、人としての温かい関わりが「蒲田のむすび」の魅力なのだと、今日のお話で強く感じました。本日は貴重なお話を本当にありがとうございました!

文:ぽりまー/撮影:nao

会社データ
・会社名:株式会社しきあ
・所在地:東京都大田区蒲田4-25-14
・設立年:2019年
・ホームページ:https://shikia.net/

鍼灸按摩マッサージ指圧 蒲田のむすび
・所在地:東京都大田区蒲田4-25-14
・電話番号:03-6428-7150
・営業時間:8:00~19:00(木曜日・日曜日は定休)
・訪問エリア:東京都大田区・川崎市川崎区・川崎市幸区 他

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