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【インタビュー】支えられるだけじゃない。「地域を支える」就労継続支援B型、リハスワーク大森 with HOUWAの挑戦

2025年5月、大田区大森に開設した就労継続支援B型事業所『リハスワーク大森 with HOUWA』。
ここが掲げるのは、『障がいがあっても地域を支える』というメッセージです。

B型事業所は、一般就労が難しい方が通う場所とされています。その中でリハスワーク大森が目指しているのは、地域の一員として働くことでした。

今回はセンター長の神山さんに、B型事業所の仕組みや日々の取り組み、そして大切にしている想いを伺いました。

PROFILE
ープロフィール紹介ー

神山 英梨奈(かみやま えりな)さん

センター長/作業療法士/サービス管理責任者/アクティビティディレクター

東京都国立市出身。帝京平成大学卒業後、作業療法士として介護老人保健施設および療養型病院に勤務し、高齢者の「その人らしい生活の継続」を支援する臨床経験を積む。

2023年より株式会社リハスに入社。リハスワーク豊島、2025年5月に就労継続支援B型事業所 リハスワーク大森 with HOUWAの開設にセンター長として携わり、立ち上げを主導。

現在はセンター長として事業所運営全般を担いながら、作業療法士およびサービス管理責任者として、利用者一人ひとりの可能性を引き出す支援に取り組んでいる。

聞き手:蒲田おにぎりちゃん

この記事の注目ポイント!!

自分のペースで働ける場所

おにぎりちゃん

B型事業所という言葉は聞いたことがあったんですが、正直、どんな場所なのか詳しくは知らなくて……。改めて教えていただけますか?

神山英梨奈さん

B型事業所は障害福祉サービスの一つで、雇用契約を結ばずに働く経験を積める施設です。

一般就労がまだ難しい方が働く施設であり、身体・精神・発達・知的など、さまざまな障がいのある方が通っています。

生活の安定、自己肯定感の回復、社会とのつながりづくりを大切にしながら、その方の段階に応じて通所日数の安定やスキル向上を目指します。

おにぎりちゃん

一般就労とはまた違う形で働ける場所なんですね。

神山英梨奈さん

就職を目指している方もいますし、『生活を安定させたい』『まずは外に出る習慣をつけたい』という方もいます。

『週1回通所ができた』『挨拶ができた』など、小さな成功体験を積み重ねることが、次のステップにつながると考えています。目標は人それぞれです。

まつなが

就職だけがゴールではないんですね!

神山英梨奈さん

そうですね。その方にとっての目標に合わせて通える場所です。

おにぎりちゃん

利用期限はあるんですか?

神山英梨奈さん

B型事業所には期限がありません。半年で就職される方もいれば、数年通われる方もいます。体調や状況に合わせて、自分のペースで続けられるのが特徴です。

おにぎりちゃん

体調に合わせて続けられるのは、安心できますね。ちなみに、開所時間は何時から何時までなんですか?

神山英梨奈さん

10時から15時までです。ただ、利用時間はその方によって違います。朝が難しい方は11時から来ることもありますし、短時間で帰る日もあります。

まつなが

無理をしない、というのが前提なんですね。

神山英梨奈さん

そうですね。雇用契約を結ぶ形ではないので、その方の体調や特性に合わせて通っていただいています。

おにぎりちゃん

現在は何名くらい利用されているんですか?

神山英梨奈さん

31名です。18歳から70歳まで、幅広い年代の方が通っています。

まつなが

18歳から70歳まで……かなり幅広いですね!

神山英梨奈さん

みなさん作業中は集中していますが、休憩時間になると自然に会話が生まれます。見学に来られた方から『明るい雰囲気ですね』と言っていただくこともあります。

それぞれのペースで過ごす一日

おにぎりちゃん

実際に通っているみなさんは、どんな風に過ごしているんですか?

神山英梨奈さん

軽作業が中心です。しおりのカットや、木のチップの封入作業などですね。

おにぎりちゃん

もしかして、玄関に飾ってあったアイテムって……!

神山英梨奈さん

そうです、通所されてるみなさんが作ったものです。封入を担当する方もいれば、シール貼りまで行う方、検品までできる方もいます。その方の状態や得意なことに合わせて、工程を分けているんですよ。

まつなが

全員が同じことをやる訳ではないんですね。

神山英梨奈さん

そうなんです。全部を一度にお願いするのではなくて、段階的に。できることから取り組んでいただいています。

おにぎりちゃん

ほかにはどんな作業があるんですか?

神山英梨奈さん

器具へのシール貼りや封入作業もありますし、これからは大田市場での野菜の皮むきの作業も始まり、多種多様な作業があります。

おにぎりちゃん

地域でのお仕事もあるんですね!

神山英梨奈さん

あとは施設外就労といって、企業に行って作業することもあります。清掃作業や、以前はパソコンの開梱作業も行っていました。利用者の方5〜6人に対して、必ず支援員が1人ついて、チームで行きます。

おにぎりちゃん

事業所の中だけではなく、外にも出るんですね。

神山英梨奈さん

その方の体調や特性に合わせて無理のない形でお願いしています。

おにぎりちゃん

作業中はどんな雰囲気ですか?

神山英梨奈さん

みなさんとても集中しています。午前に10分、お昼に60分、そして午後に5分の休憩があるんですが、休憩時間になると自然と会話が生まれます。

年代も幅広いので、10代と70代の方が話している場面もありますよ。お互いに刺激を受けながら過ごしているのかなと思います。

おにぎりちゃん

それぞれのペースで、いう言葉が少し見えた気がします。

神山英梨奈さん

一人ひとりに合った形で、無理のない一日を過ごしていただければと思っています。

『with HOUWA』が示す、地域とのつながり

おにぎりちゃん

施設名に『with HOUWA』と入っているのが印象的ですね。

神山英梨奈さん

大森南にある豊和工業株式会社さんと一緒にやっている事業所なんです。地域の企業さんからお仕事をいただいたりしながら運営しています。

まつなが

B型事業所で、企業とここまで連携しているのは珍しい印象があります。

神山英梨奈さん

そうですね。リハスワークは大森だけでなく全国に事業所がありますが、ほかの地域でも企業と協力しながら取り組んでいます。

おにぎりちゃん

地域に事業所を知ってもらう機会も増えそうですね。

神山英梨奈さん

地域の方に知っていただく機会が増えるのは大きいですし、福祉を地域に発信していくことにもつながっていると感じています。障がいがあっても支えられる側から支える側でありたい、福祉が地域を支える社会の実現を目指して行なっています。

企業との連携だけでなく、事業所同士のつながりもあります。たとえば、この机は株式会リハスが展開するA型事業所で作られているものなんです。

おにぎりちゃん

A型事業所もあるんですね。

神山英梨奈さん

金沢にはクリエイティブワーカーが集まるA型事業所があって、アイテムのデザインを担当しています。そして、大森ではカットや封入などの工程を担っています。机やホワイトボードも金沢のA型事業所で作られたものなんです。

まつなが

一つのアイテムが、複数の場所の連携でできているんですね!

神山英梨奈さん

地域ごとに仕事内容は違いますが、その地域ならではの仕事を探しながら取り組んでいます。

おにぎりちゃん

支援を受ける場所というより、地域の一員として働く場所という感じがしますね。

神山英梨奈さん

そういう場所でありたいと願っています!

作業療法士から就労支援の現場へ

おにぎりちゃん

神山さんがこの業界で仕事を始めたきっかけは何だったんですか?

神山英梨奈さん

もともとは作業療法士として働いていました。高齢者の老人保健施設や療養病院で、10年ほど勤めていたんです。

おにぎりちゃん

作業療法士としてのご経験から入られたんですね。福祉の道を志したきっかけは、何かあったんですか?

神山英梨奈さん

きっかけは家族の存在です。小さい頃、祖母が在宅介護を受けていて、認知症もありました。

そうした姿を見て、高齢者の方が最後まで楽しく、自分らしく過ごせる支援に関わりたいと思うようになったんです。

そしてもうひとり、曾祖母がいて。曾祖母は最後までお酒を飲んだりタバコを吸ったり、自由に過ごしていて……。最期まで『楽しかった』と言って長生きしたんです。

おにぎりちゃん

介護を身近で見てこられた中で、最後まで自分らしい姿が強く残っているんですね。

神山英梨奈さん

その姿を見て、私も自分らしさを大切にできる支援に関わりたい、目指したいと思って作業療法士になりました。

まつなが

作業療法士というと、生活に寄り添いながらその人らしさを支えるお仕事ですよね。

神山英梨奈さん

手作業や活動を通して、その方の生活に合ったリハビリができるのが作業療法士の魅力でした。

おにぎりちゃん

作業療法士として、高齢者の現場で経験を積まれてきたんですね。

そこから就労支援の分野へと進まれたのは、どんな思いがあったのでしょうか。

神山英梨奈さん

高齢者の現場で働く中で、とても輝かしい人生を歩んできた方でも、施設に入ると希望を見いだせなくなってしまう姿を多く見ました。早く人生を終わらせたい、という言葉を聞くこともあって……。

おにぎりちゃん

それは胸が痛みますね。長い人生を歩んできた方が、そう思ってしまうなんて……。

神山英梨奈さん

それから、もっと他にできることがあるのではないか、と考えるようになりました。そして、理想とする支援の形を自分でつくる側に回りたいと思い、サービス管理責任者の資格を取得したいと思いました。

まつなが

現場で感じた思いが次の一歩につながったんですね。

神山英梨奈さん

そうなんです。そしてリハスに入社しました。会社の理念である『障がいをなくすしごと』という言葉は、一人ひとりが当たり前に活躍できる社会をつくる挑戦だと感じました。

できないのではなく、活躍できる環境が整っていないだけであり、その考え方に深く共感しました。

おにぎりちゃん

その言葉に、ご自身の思いが重なったんですね。

神山英梨奈さん

高齢者の現場で感じていた思いとも重なりました。障がいがあっても、できることはたくさんある。その可能性を広げる支援がしたいと思っています。

できないことより、できることを見る支援

おにぎりちゃん

実際に就労支援の現場で働いてみて、どんなことを感じられましたか?

神山英梨奈さん

病院や老人保健施設では、その方のできることが見えにくい場面もありました。でも就労支援ではいろいろな作業や環境があるので、その方の強み、できることを見つけやすいと感じています。

おにぎりちゃん

強みを見つけやすいというのは、どういうことなんでしょう?

神山英梨奈さん

たとえば、最初は『自分には何もできない』と言っていた方がいました。シール貼りも反対に貼ってしまったり、中々うまくいかなかったんです。

おにぎりちゃん

何もできないって、ご本人が思ってしまっていたんですね。

神山英梨奈さん

そこで、別の作業を一緒にやってみたんです。環境を変えたり、工程を細かく分けたりしながら取り組むうちに、少しずつできることが増えていきました。最終的には、リーダーとして他の方をサポートできるまでになりました。

まつなが

小さな成功体験が、自信につながっていったんですね。

神山英梨奈さん

ほかにも、福祉の専門学校に通っていたけれど途中で辞めてしまった発達障がいの方がいました。自信をなくしていたんですが、老人保健施設の環境整備の仕事に挑戦してから、できることがどんどん増えていきました。その方のやりたいが形になったこともできるが増えたのだと思います。

おにぎりちゃん

環境が変わることで、その方の可能性が開いていったんですね。

神山英梨奈さん

そうですね。私は声かけと環境づくりがとても大事だと思っています。

おにぎりちゃん

声かけというのはどんなことを大切にされているんですか?

神山英梨奈さん

指示を出すのではなく、『どうしたらできるか』を一緒に考えること。できなかったことよりも、できたことに目を向けること。そして小さな成功体験を積み重ねることです。

まつなが

『できた』を重ねていくことが、大きな自信につながるんですね。

神山英梨奈さん

そうなんです。そして、振り返りを必ず一緒に行うようにしています。何ができたのか、次はどうするのか。一緒に考えていく中で、自信がついていくんです。

おにぎりちゃん

実際に利用者さんから、言葉をもらうこともあるんですか?

神山英梨奈さん

あります。『自分にこんな強みがあるなんて知らなかった』と言っていただいたこともありますし、『人生諦めてたけど変わることができた』とブログに書いてくださった方もいました。その瞬間が私にとってとても嬉しい瞬間です。

おにぎりちゃん

それは何よりうれしい言葉ですね!

神山英梨奈さん

自信がついた、次の目標が見えた、と直接伝えてもらえることもあります。病院勤務の頃より、そういう言葉をいただく機会は増えました。これからも、その方の可能性を広げる支援をしていきたいと思っています。

可能性を信じられる場所へ

おにぎりちゃん

神山さんご自身としては、リハスワーク大森をどんな事業所にしていきたいですか?

神山英梨奈さん

利用者のみなさんの支援はもちろんですが、スタッフも含めてみんながここで働けてよかったと思えるような事業所にしていきたいと思っています。そのための仕組みづくりにも、これから力を入れていきたいですね。

まつなが

支援だけでなく環境づくりも大切にされているんですね。

神山英梨奈さん

環境が変わると人は変わると感じています。だからこそ、安心して挑戦できる場所でありたい。失敗しても大丈夫だと思える場所でありたいと思っています。

おにぎりちゃん

最後に、神山さんが大切にしている想いを教えてください。

神山英梨奈さん

リハスの理念でもありますが、『障がいをなくすしごと』という言葉があります。そして、『障がいがあることが問題ではなく、活躍できない社会が問題である』という考え方です。

実際に就職した方や目標を達成できた方も沢山みていて、障がいがあっても、できることはたくさんある。その可能性を、本人も、周りの人も信じられる社会であってほしいと、心から思っています。

おにぎりちゃん

今日のお話を通して、リハスワーク大森 with HOUWAが大切にしているのは、支援の仕組みだけではなく、その人の可能性を信じる姿勢なのだと感じました。

障がいがあっても、地域を支える。その言葉の意味が、少しだけ輪郭を持って見えた気がします。

本日は、貴重なお話を本当にありがとうございました。

文:蒲田おにぎりちゃん

会社データ
・会社名:リハスワーク大森 with HOUWA
・所在地:東京都大田区山王2丁目3−13 シオカワビル2階A
・開所年:2025年
・ホームページ:https://rehas-work.com/work/rw_omori

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