雑色駅から歩いて10分ほど、地域の暮らしに寄り添うように水門通りの途中に店を構える「下町コーヒー」。
店主の河野充男さんは、コーヒーを通して街の人たちとつながる場所をつくりたいと、お店を営んでいます。高齢者施設への出張カフェも手がけながら、香り豊かな一杯で、日々この街に元気とぬくもりを届けている河野さん。今回は、河野さんがお店を始めたきっかけや出張カフェの活動についてお話を伺いました。
PROFILE
ープロフィール紹介ー

河野 充男(こうの みつお)さん
下町コーヒー 店主
東京都大田区出身。飲食の世界でラーメン職人としての経験を積むなか、もともと好きだったコーヒーを「もっと深めたい」との思いから、週末限定で鎌倉の物件を間借りし、まぜそばとコーヒーを提供する異色スタイルの店をスタート。その後、2019年12月に大田区内で「下町コーヒー」をオープン。定休日には高齢者施設などを中心に出張カフェを行い、地域のひとときを豊かにする活動にも取り組む。
聞き手:蒲田おにぎりちゃん
「まぜそばとコーヒー」から始まった物語

おにぎりちゃん下町コーヒーはいつオープンしたんですか?
河野充男さん2019年の12月です。今のお店を始める前はラーメン職人として働いていたんですが、もともとコーヒーが大好きで。週末だけ知人の鎌倉の物件を間借りして、コーヒーとまぜそばを出すお店をやってたんです。
おにぎりちゃんまぜそばとコーヒーって、すごくユニークな組み合わせですね!
河野充男さんちょっと変わったことをやってみたいなと思って(笑)その間借り営業が、下町コーヒーをオープンするきっかけになりました。

おにぎりちゃんなるほど、そこから本格的にカフェを始めようと思われたんですね。
いまのお店の場所とはどういうご縁で出会われたんですか?
河野充男さんもともとこの場所は焙煎所で、9年ほど営業されていたんです。焙煎所の店主の方が辞められることになって、お店をそのまま渡したいというお話をいただいたので、私たちが引き継ぐことにしました。それをきっかけに、地元・大田区で本格的にやっていこうと決めたんです。地域の人と自然に会話が生まれるような、そんな場所にしたいと思って。

おにぎりちゃん地域の方との会話が生まれる場所、素敵ですね!
ちなみに、今のような営業形態になるまでにはどんな経緯があったんですか?
河野充男さん最初は珈琲豆だけの販売だったんですが、「ここでコーヒーも飲めたらいいのに」と言われることが多くて(笑)。それで保健所の許可を取って、店内での提供を始めました。少しずつ形を整えて、今のスタイルにつながっています。
おにぎりちゃん街の中にコーヒーの香りがふわっと漂って、思わず足を止めたくなるようなお店ですね。
30種類のコーヒーに出会える場所

おにぎりちゃんお店では珈琲豆の種類がとても豊富だと聞きました。どれくらい取り扱っているんですか?
河野充男さんうちは30種類くらいありますね。コーヒーってワインよりもフレーバーが多いんですよ。例えばナッツ系とか柑橘系、ドライトマトみたいな味わいまであって、すごく面白いんです。
おにぎりちゃんそんなに種類があるんですね!豆ごとのポテンシャルを活かすには、焙煎の仕方も重要そうです。お店ではどんなふうに焙煎されているんですか?
河野充男さん基本的にうちの店では200グラムから焙煎してます。あまり量が少なすぎると火が入りすぎて、フレーバーが飛んじゃうんです。苦味だけが立っちゃうともったいないので、豆のポテンシャルを活かすためにも200グラムからと決めています。
おにぎりちゃん焙煎で引き出した香りや味わいを、どうやって仕上げていくかも気になります。抽出にはどのようなポイントがあるんですか?
河野充男さんお店ではコーヒーをハンドドリップで淹れているんですけど、同じ豆でも温度や豆の量、注ぎ方で味が変わるんですよ。同じ条件でも淹れる人によって味が変わる、そこがすごく面白いところですね。

おにぎりちゃんコーヒーを淹れるときは温度管理も大事なんですね。
河野充男さんすごく大事です。高い温度で淹れると、豆の嫌な部分がぐっと出ちゃうんですよ。逆に優しく淹れると、豆のいいところだけが引き出されて飲みやすくなるんです。
おにぎりちゃんなるほど。そういう丁寧さが、河野さんの一杯の魅力につながっているんですね。
定休日は“出張カフェ”の日。人生の先輩たちに、ありがとうを一杯

おにぎりちゃん河野さんは出張カフェもされているそうですね。どんなきっかけで始めたんですか?
河野充男さんきっかけは、地域の理学療法士の先生から「健康体操と一緒にコーヒーを出張でやってみませんか?」と声をかけてもらったことです。
おにぎりちゃん健康体操とコーヒーですか、面白い組み合わせですね!
河野充男さんそうですよね(笑)。実は、僕自身おばあちゃん子でして。人生を頑張ってこられた方たちに、何か喜んでもらえることがしたいなってずっと思っていたんです。
おにぎりちゃんその気持ちが出張カフェにつながったんですね。
出張カフェはどのくらいの頻度でやっているんですか?
河野充男さん木曜日がお店の定休日なので、その日に合わせて月に何回か行っています。2年くらい前から始めて、これまでに30回以上開催していますね。

おにぎりちゃん出張先ではどんな風にコーヒーを提供しているんですか?
河野充男さん機械一式を持ち込んで、その場で豆を挽いてドリップしています。参加してくださる方が目で見て楽しめるように工夫しているんです。
おにぎりちゃんとっても本格的ですね!参加された方の反応はどうですか?
河野充男さん「インスタントと全然違うね」とか「香りがすごく良い」と言っていただいて。おかわりされる方も多くて、本当にやってよかったなと思いますね。
おにぎりちゃん一杯のコーヒーが、心に残る時間をつくっているんですね。
「また来たい」が街の元気に。地域に根ざすコーヒー店の想い

おにぎりちゃん河野さんは、下町コーヒーを通じて地域を元気にしたいという思いもあるそうですね。
河野充男さんお店がある大田区南地区って、観光地じゃないし、目立つスポットがある訳でもないですよね。でも、お店に来てくれるお客様に「おいしいものを飲んでもらいたい」「また来たいな」と思ってもらえたら、それが街の活気につながるんじゃないかなと考えています。
おにぎりちゃんおいしいコーヒーを求めて人が集まる場所になっていったら素敵ですね。
河野充男さん都心のような賑わいはないけれど、地元の人が集まって話したり、楽しく過ごしたりする場所になったりすればいいなと思っています。だから、店のクオリティを落とさず、安心して来てもらえるようにしています。

おにぎりちゃんそういう気持ちが街を盛り上げる力になっていくんですね。
河野充男さんそうだと嬉しいですね。最近はSNSの発信にも力をいれていて、それがきっかけで新しいお客様も来てくださるようになりました。少しでも元気になってもらえるようなお店でありたいと思います。
おにぎりちゃんおいしいコーヒーで街を元気にするって、すごく素敵な考え方ですね!
出張カフェが紡ぐ、やさしい循環

おにぎりちゃんお店や出張カフェを通じて、少しずつ広がっている輪があるんだなと感じました。これから挑戦していきたいことはありますか?
河野充男さん出張カフェの活動を、これからもっと本格的に広げていきたいと思っています。今は定休日の木曜日しか動けないのですが、今後はお店にアルバイトの方にも入ってもらって、平日でも出張できる体制を整えていきたいですね。
おにぎりちゃんどんな場所への出張を考えているんですか?
河野充男さんこれまでは高齢者施設に伺うことが多かったんですが、今後はその経験を活かして、会社の会議などにも訪問できたらいいなと思っているんです。“コーヒーを飲みながら会議”って、自然とリラックスできる空間になる気がして。
おにぎりちゃん確かに!それは素敵な空間になりそうです。
そんな出張カフェの活動の中で、やりがいを感じるのはどんなときですか?
河野充男さんやっぱり、「おかわり!」って言ってもらえたり、「インスタントと全然違う」って驚いてもらえたりすると、すごくうれしいですね。普段あまりコーヒーを飲まれない方が、何杯も飲んでくださることもあって。そういう反応があると、“やってよかったな”って心から思います。
おにぎりちゃんその笑顔が原動力になっているんですね。聞いているこちらまで、ほっと心があたたかくなりました。
座右の銘

おにぎりちゃん最後に、河野さんの座右の銘を教えてください。
河野充男さん僕は「仁(じん)」という字がすごく好きなんです。昔から、近所の人同士で醤油を貸し借りするような人とのつながりを大事にしてきたので、人の義理や絆を大切にしたいと思っています。
おにぎりちゃんその思いが、お店や地域の活動にも表れている気がしますね。
河野充男さんこれからも人と人とのつながりを大事にしながら、地元で楽しくお店を続けていきたいですね。
おにぎりちゃんコーヒーを通じて地域にやさしさを届ける姿がとても印象的でした。この挑戦が、これからもっとたくさんの笑顔につながっていきますように!
文:蒲田おにぎりちゃん/撮影:nao
店舗情報
・店名:下町コーヒー
・所在地:東京都大田区南六郷2丁目20−2 コアパレス 1F
・電話番号:03-6317-3512
・営業時間:平日 10:00〜18:30 日曜10:00〜18:00
・定休日:木曜
・ホームページ:https://shitamachi.coffee/
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